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ノベルティや販促などに最適なオリジナルキャンディーを製作

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安心と信頼をさらに未来へ -JFS-A規格取得の舞台裏とこれからの挑戦-

いつも「まいあめ」をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
今日は、私たちにとって大きな節目となった出来事を、少し長めにお話させてください。
それは、私たちの飴づくりにおいて「安心・安全」という視点で、さらなる進化を遂げた JFS-A規格取得 という挑戦です。
飴を愛してくださり、飴がコミュニケーションツールだと理解いただいているお客様にこそ知っていただきたい、私たちの2年半に及ぶ舞台裏の物語――ぜひお付き合いください。

1.「手作りの誇り」と「安心」の両立という課題

「まいあめ」の一番の特徴は、ピロー包装以外はほぼ全て人の手で行われるということです。
小さな飴の中に、ロゴや文字、キャラクターの絵柄や時には風景までも認識できる形で表現されるその姿に、多くのお客様が「わぁ!」と感動してくださいます。ペロペロキャンディーにしても、一つ一つの配色に合わせて手作業で色をつけ、くるくると巻いていく作業もやはり手作業です。

手作りの飴

贈り物に選んでくださる方も多く、世界に一つだけのオリジナルデザインを作れること、お客様の要望に合わせてこれも手作業で質の高いパッケージングをしていくというのも、まいあめの大きな価値だと自負しています。
ですが――。
ここにはずっと、大きなジレンマがありました。
手作業であるがゆえに、どうしても 衛生面のばらつき や ヒューマンエラー のリスクがつきまといます。
もちろん私たちは、これまでも衛生管理や職人教育に力を入れ、クオリティには絶対の自信を持ってきました。お客様とのやり取りでのヒューマンエラーを極力なくすため、今から10年以上も前の段階で、独自のCRMを制作運用しており、案件に紐づく情報はメールをはじめ、全て一元管理し、過去10年にわたって情報を検索確認することもできます。
しかし、お客様や取引先様が求める食品としての「安心・安全」をさらに強固なものにするためには、
「職人の技術」や「情報の管理」だけでは乗り越えられない壁がどうしても存在するのです。

2. 信頼の「見える化」へ――JFS-A規格との出会い

その答えを私たちは、JFS-A規格 に見つけました。
この「JFS-A規格」とは、一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)が運営する食品の安全管理に関する認証規格です。JFS規格は、食品を取り扱う事業者が、食品安全管理システム(FSM)、HACCP(危害要因分析重要管理点方式)、GMP(適正製造規範)に基づいて、食品の安全性を確保するための取り組みを認証するものです。特に小規模事業者にも導入しやすいよう設計されている規格がAに当てはまります。
お客様の多くは普段、こうした規格の存在を意識することは少ないかもしれません。
しかし食品をつくる現場にとっては、大きな意味を持つのです。
例えば:

・異物混入の防止
・製品ごとのトレーサビリティ(いつ誰がどの材料で製造したかを把握する記録体制)
・従業員の衛生教育
・工程ごとのリスク分析と管理

これらを、すべて「文書化」し、「証明」することで、お客様に「安心」をわかりやすくお届けできる。
それがJFS-A取得の一番のメリットです。

3. プロジェクト開始――理想と現実のギャップ

私たちがJFS-Aに取り組み始めたのは、いまから2年半前のことでした。

当初、外部の専門家の方々と打ち合わせを重ねながら、現状分析を行いました。
すると、改めて目の当たりにしたのは、次のような課題です。

・清潔区分の不足
→ 「清潔区域」と「非清潔区域」の物理的な仕切りが甘く、交差汚染のリスク。
・記録体制の不備
→ 手作業中心ゆえに、「誰がどの作業をしたか」の記録が曖昧になりがち。
・設備老朽化
→ 床や壁、照明がHACCAP対応のものではなく清掃性や破損リスク対応に課題。

「このままでは取得は難しいかもしれないどころか絶対無理!」

正直、そんな空気が社内に流れたこともありました。
しかし、私たちは覚悟を決めました。
「ここで諦めたら、今はまだいいけれど、最終的に未来はない」
「本気で取り組めば、必ずお客様の信頼につながる」

とにかく未来を見つめて押し切るため、正直な話「勢い」しかありませんでした。

4. 設備投資と大改修――未来への投資

加工場
※新オフィスの加工場(引越し前)

決意を固めた私たちは、大きな決断をします。
それが、事務所・加工場の移転と大規模リニューアル でした。

対外的には、銭湯をリノベーションした足湯やおしゃれなカウンターがあるオフィスということでフューチャーされがちではありますが、いちばんのポイントは加工場をJFS―A取得に向けてビルドアップするということです。まずはパッケージング作業が劇的に増えたため、直接的な作業スペースとして現状の倍のスペースを確保する必要があり、その上で設計ポイントが明確にされていきました。

◼️ 新工場の設計ポイント

・清潔区分の徹底
 ▶︎清潔作業区域と原料保管区域を完全に分離
・動線の明確化
 ▶︎人や物の動きが交差しない設計
・洗浄性の向上
 ▶︎壁や床に防カビ・耐水性素材を採用
・空調の強化
 ▶︎温度・湿度管理を徹底し、飴の品質を安定化
・金属検出器導入
 ▶︎最終検査で異物を徹底除去

当社にとって、この移転・改修には多大な投資が必要でした。リノベーションですから元々お金はかかることは予想していましたが、細かな備品等もHACCAP対応というものに対応することで想定以上に費用がかかりました。具体的な例を出しますと、加工スペース内における照明費用です。

加工スペースでは異物混入等を含めてさまざまなチェック作業を目視で行う工程があるため、見やすさという観点からかなり明るい状態を作るため約40平米のスペースに対して、26本のLEDライトを設置することにしました。1本あたり約2万円という見積もりでスタートしていましたが、これを飛散防止かつHACCAP対応に変更することとなり、見積もり金額が1本あたり14万円と、7倍に跳ね上がることとなりました。

照明
こちらが1本あたり14万円のLEDライト

つまり、認証をとっていくために、備品をすべてHACCAP対応にできるものは通常のものから変更していくだけでも投資金額はどんどん上昇していきました。

それでも、私たちは 「未来への投資」 と位置づけ、決して後ろ向きには捉えませんでした。

5. 人こそ最大の要――スタッフの挑戦

今回のJFS-A取得において、もっとも時間と労力をかけたのが、「人の意識を変えること」 でした。

まいあめは創業以来、手作りのぬくもりと技術を大切にしてきました。
そのため、飴づくりに携わるスタッフ一人ひとりが、「このやり方が正しい」「こうすれば大丈夫」と、自分なりの信念と経験を積み重ねてきたのです。

しかし、時代は変わりました。

昔は、「職人の目と感覚に任せておけば間違いない」と信じられていた食品の世界も、今では科学的な根拠、管理方法、そしてなにより 透明性 が強く求められるようになりました。

◼️ 「まいあめ」創業時とのちがい

まいあめが生まれた頃(2007年頃)は、手作業でつくられた食品には「素朴さ」「家庭的な温かさ」があるからと、一定の評価を受けていました。

ところが、昨今では状況が一変しています。
特に、SNSの普及により、食品事故や異物混入の報道が瞬時に拡散される時代に入りました。

たったひとつの小さな異物混入でも、それが写真付きで投稿されれば、企業の信頼は一夜にして崩れる可能性があります。
実際に、他社でSNS発の投稿がきっかけで、全製品の自主回収にまで発展したケースも、私たちは目の当たりにしてきました。
「うちは大丈夫」という油断は、一切通用しなくなったのです。

◼️ 外部講習で見えた「今」と「理想」のギャップ

そこで、私たちはまず、全スタッフで外部の衛生・食品安全講習を受講することから始めました。

受講の様子
講習受講の様子

食品工場における一般衛生管理、異物混入防止の基礎知識、HACCPの考え方、トレーサビリティの重要性――
講習では、実際の食品事故事例も数多く紹介されました。
スタッフの中には「まさか、こんなことでこんな大事になるのか」と、驚きや危機感を覚えた者も少なくありません。

たとえば:

・パンに髪の毛1本が混入していたという投稿を見たという理由で、当人以外からの数百件に及ぶ電話
・自動販売機で売られていたキャンディーに異物が混入していたという投稿が、数時間で4万リツイート
・写真・ポスターと「見た目が違う」「印字がずれている」とSNSに投稿され、拡散

こうした事例は、消費者の食の安全に対する意識の高まり、関心に対して、まいあめが向き合い、そして取り組むための課題となりました。

◼️ 意識を変えるという「見えない改革」

私たちはその後、スタッフ一人ひとりと面談を重ね、意見を聞きながら「なぜ今、変わらなければならないのか」を丁寧に共有していきました。

正直、簡単ではありませんでした。

・「今まで問題なかったのに、なぜ急に厳しくなるのか?」
・「細かすぎて現場が混乱する」
・「信頼って“気持ち”の問題じゃないの?」

そうした声に対して、私たちは真正面から向き合いました。

単に「ルールだから守って」と伝えるのではなく、「この1粒を口にする人の安心を守るために必要なこと」、「飴を贈るお客様が“ありがとう”と思える品質にするには、何が必要か」そんなふうに、スタッフ一人ひとりが 自分ごととして捉えられるようになるまで、何度も対話を重ねていきました。

この取り組みは、結果的に社内の雰囲気を大きく変えてくれることになります。

「お客様の目線を常に持とう」
「手作業だからこそ、確認と記録を徹底しよう」
「SNS時代のブランドを守るのは、自分たちなんだ」

こうした意識が根付き始めたとき、まいあめは「職人の技術」だけでなく、「スタッフ全体のチーム力」で作られるブランドへと、一歩進化したと私たちは確信しています。

6. いよいよ監査――涙の適合取得

2年半に及ぶ準備を経て、いよいよ2025年4月17日、JFS-Aの外部監査を迎えました。

それはまさに緊張の連続でした。社長を含めたJFS取得チームが全員参加し監査に挑みました。監査員の方々は一切の甘さを許さず、食品安全の方針、現場、記録、作業手順、教育体制――あらゆる角度から私たちをチェックしました。

「単に食品の安心安全ではなく、コンプライアンス順守を盛り込むべきです」
「ここはどのような観点から管理基準を決めていますか?」
「この書類の記録書類はどこにどのように保管されていますか?」

厳しい指摘が飛びました。しかし、チームリーダーを含め担当者が2年半の準備期間と、弊社にとっては莫大な投資を無駄にできないという思いから自信を持って対応し、回答ですることができました。

未来のために諦めない。それが私たちの信念です。

そして2025年5月8日、ついに「適合判断の通知メール」をいただくことになりました。

メールをいただいたJFS取得チームのリーダーはその瞬間、涙が出るほど嬉しかったはずです。

JFSA
オフィスの玄関へ掲示しました

7. JFS-A取得がもたらしたもの

JFS-Aを取得したことで、私たちが得たのは「認証」だけではありません。

◼️ 安心の「証明」
「まいあめは安全です」と自信を持って言えるようになりました。

◼️ 顧客からの信頼
お客様や取引先から、安心して新規取引のお話をいただくことが増えました。

◼️ スタッフの誇り
自分たちの仕事を、安心という形でお届けできる誇りが育ちました。

◼️ 海外展開への道
将来的に国際規格(JFS-B、C)へのステップアップも視野に入れられるようになりました。

8. お客様へ、心からのメッセージ


この2年半は、決して楽な道のりではありませんでした。でも、どんなに大変でもやり遂げられたのは、ほかならぬ
お客様の存在 があったからです。

「まいあめが好き」
「贈り物にしたい」
「スタッフの皆さんすごいですね」

そんな言葉に支えられて、ここまで来ることができました。

私たちはこれからも、
手作業のぬくもり科学的な安全管理 の両立を追い求めていきます。
そして、いつまでも安心して召し上がっていただける飴を提供し続けます。

どうかこれからも「まいあめ」をよろしくお願いいたします。