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ノベルティや販促などに最適なオリジナルキャンディーを製作

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先生、してきました

先日、お声がけをいただき、名古屋市立植田中学校にて『ものづくり』をテーマに授業を行いました。

この体験授業は、飴、木工、表具、左官、靴、陶器、印刷、グラフィックデザイナー、地域活性化、有松絞り、建築、フラワーデザイナー、コピーライターなど、13の職種から、ものづくりを実際に体験してもらい、世の中にはどんな仕事があるか、また、ものをつくる仕事について興味を持ってもらうことが目的でした。

まず今回の体験授業は、普段から仲良くしてもらっている「丹羽ふとん店」の丹羽さんから話をいただいたのがきっかけでした。

なんでも、丹羽さんの愛知県の教員をしている親族から、中学校の「キャリア教育」の授業がコロナ禍のためになかなか行えないこと、
さらにコロナ禍で予算が削られており、いつも依頼する団体に実施してもらえるように動けない。
しかし、学校としては、少しでも働くこと、仕事をすることを体感することは、学生達のためになると考えているため、「ものづくり」を通してキャリア教育の授業は諦めずに行いたいと考えている。
という相談があったとのことでした。

コロナ禍以外にも課題がありました。
従来の体験授業は団体の組合の長など、ご高齢の方が多く、世代間のギャップがあると考えてたそうです。現に私も思い返すと、高校時代のキャリア教育では一方的に話を聞く講義のようなものが多く、働くことを身近に感じることができませんでした。
学生達の親世代に近い人が講師として授業することで、「働く大人」を知ってもらえればと思っていたそうです。

そこで、丹羽さん主導の元、まいあめも会員所属する団体「NPO Made in Japan Project」で有志を集め、
デザイナーやコピーライターなど、聞いたことがあるけれど「どんな職業なのかははっきりとわからない仕事」などが、実際にはどのような仕事なのかを知ってもらうため、様々な職種の方に声をかけました。
そして正式に「ものづくり」の体験授業を行うことになりました。

私はいつもこのような授業を行う時には深く考え、悩みこんでしまいます。
愛知県の南山大学や名城大学で大学生向けにPRやマーケティングの講義をしたこともあります。
大学生の場合は、ある程度アルバイトもしているので、仕事というものが比較的身近にあり、就活も控えているので自分ごととして考えてくれます。
そういう意味で、裏テーマとして「マーケティングって面白いんだな、働くことって面白いな」と感じてもらえるような話をちりばめながら弊社の事例を話し講義をしています。

また、小学生の工場見学も一年に2~3回ほど行っていて(現在は休止中)、その時も、小学生でも理解できる言葉ってなんだろう。沸騰ってわからないだろうなだとか、低学年でも理解できる言葉で製造工程を説明していきます。そして、「飴作りってこんなに大変なんだ」ということを感じて帰ってもらうことを意識しています。

しかし今回は中学生。ワークショップまで行うということで、さらに考えこんでしまいました。
小学生よりも社会のことを理解している。そして、働くことや将来の夢などが段々と具体化していく年齢である。。。このようなことを考えると、何をテーマに話をしようか頭を悩ませていました。
まいあめとして何が出来るだろう。どのようなワークショップにしよう。
実際に製造現場を見学せずに、どのように製造の大変さを伝えようかなど、今までの経験とは異なり、何をメインに伝えることがいいのだろうと年明けからずーっと考えていました。

たまたま体験授業のタイトルが「コンビニでは絶対買えないキャンディー」だったので、
愛知県の駄菓子についてと、どうしてまいあめの飴はコンビニで買えないのかということ、そして、ものの価値について考えてもらおうと授業内容をまとめ始めました。ワークショップで熱い飴を使うのは危険なので、紙粘土を使用し、ペロペロキャンディーと組み飴の擬似製造体験を考えました。

そして当日、NPO Made in Japan Projectの会長の挨拶から始まり、早速体験授業が開始されました。

まず、名古屋市はあまり知られてないけれど、駄菓子の街だということを紹介しました。
クッピーラムネって名古屋の会社が作ってるんだよ。」と伝えると、「食べたことあるのに知らなかった。」など驚きの声がありました。次いで「マルカワガム(10円ガム)」や共親製菓の「さくらんぼ」など学生達が食べたことある駄菓子は意外と名古屋生まれが多いんだよと伝えると、学生達は「へーっ!」と、初めて知った学生が多かったようで、驚いていました。名古屋は駄菓子の街と知ってもらう、いいきっかけになったと思います。

そして、組み飴の製造工程の動画を見てもらい、湯気が出てないけれど100度以上あることや、飴は冷えれば固まるけど熱いうちはスライムのように変形していくことを伝え、組み飴をつくることがいかに難しいかを伝えました。

そこから、いきなり組み飴のパーツ作りは難しいので、ペロペロキャンディーを作ってもらいました。2色の紙粘土で適当な長さを作り、絡ませて木串を刺して出来上がり。こちらを15分ほどで作ってもらい、飴は人の手で成形していくことを理解してもらいました。

そして本題の組み飴のパーツ作り。
今回は「ありがとう」の文字を紙粘土で作ってもらうことに。

まずはパーツの作り方を説明し、一番簡単な「う」を5cm四方の立方体になるように作るデモンストレーションを各グループのテーブルごとに行っていきました。「う」という文字は鉛筆で書けば2画で終わるけど、紙粘土や飴で作るとパーツだけでも7パーツもいると伝えたところで、最初はヒントを与えず、学生達は一心不乱に粘土と格闘していました。
やはり、普段とは違った脳を使うらしく、皆が難しいと難しいと口を揃えて言っていました。

そこで、もう一度渡したプリントを使って、鉛筆でパーツ分けをしながら番号を割り振っていくとパーツの整理ができるよ、とヒントを与えると、各グループで議論が活発になり、こうやった方がいいんじゃないかななど、一気にまとまり進んでいきました。

最初は簡単な「と」と「う」を作っていき、段々となれたチームから次の難しい文字へ挑戦していきました。特に「あ」は苦戦したらしく、どのチームもなかなか出来ませんでしたが、制限時間ギリギリでいくつかのチームが「ありがとう」の文字を完成させていました。

学生達は「頭使った!」「こんな風に考えて文字を書いたことない!」など、組み飴職人の大変さを感じる意見がたくさん出てきました。

ワークショップ終了後、私は学生達にどうしても考えてもらいたいことがあり、原稿にまとめてきた話をしました。

今回皆さんが作った「ありがとう」の文字は、職人さん達は20分ぐらいで組み上げてしまいます。今回はみんな80分くらいでやっと「ありがとう」が作れたよね。しかも飴は熱いのとスライムのように変形していくから、紙粘土のように扱いやすくないんだ。職人さんってすごいよね。

どうしてコンビニで売らないかって話に戻るけれど、
組み飴がどれだけ作るのが難しいか皆さんに体験してもらったと思います。
僕たちが作る飴は、職人さんの「技術」と「労力」がたくさん詰まっています。
この飴を作るのに、たくさんの飴を作ってきました。もっと文字がはっきり見えるように、キャラクターが可愛く見えるように、たくさんの時間を使って技術を磨いてきました。
私はそんな「技術」と「労力」が詰まった飴を、安く売ることが出来ません。それはなぜかみんなも経験した通り、すぐには身に着けることのできない技術的な価値のある飴だと思っているので、お客さんにはできるだけ高く買ってもらえるようにしています。

でも、駄菓子って安いよね。マルカワガムは10円で売っていたりするよね。
それはみんなが買いやすいように、安くする努力しているんだよね。
出来るだけ少ない人数で大量に作れるように工夫をしたり、人の手がかからないように効率化を測ったりなど様々な試行錯誤を重ねて、安く提供をしてくれてるんだ。

みんなが使っているYouTubeも実質無料で利用してるよね。
じゃあどうして無料で利用できるんだろう?
instagramやTVもそうだけど、どうして僕らは無料で利用できるのだろう。
そのどうして、や、なんでだろう、と疑問に思ったことを調べてほしいし、考えてほしいと思います。

そして、最後にみなさんに考えてもらいたいのは「安いものには安くする努力があって、高いものには高い理由がある」ということです。
なぜ、このお菓子は高いのだろう、100円ショップはどうして100円で販売できるんだろう、そんな「なんでだろうやどうしてだろう」を、この授業を通してを是非考えてほしいと思います。

私が伝えたかった言葉を、学生はしっかり聞いてくれました。

私も、どうしても無意識にモノやサービスを消費してしまうことがあります。
改めて、中学生向けに働くこと、仕事を伝えること、を考えてみると、働いている人がそれぞれ努力をしている、ものづくりはその際たる例だなと思いました。
安いものが悪いわけじゃないし、高いものも悪いわけじゃない。
どのモノやサービスも考え抜いて、いろんな人が工夫して、出来たプロダクトだということを今回の授業のテーマにしようと思いました。そこから、いろんなことに「なんで」を抱いて、調べたり、興味を持ってくれれば、少しでも将来の役に立つことができるのかなと思います。
私自身この年齢になって、学ぶことや気づくことが学生時代に比べてさらに多くなってきました。学生達の素直で愚直に、なんとかして作ってみようと思う部分や、不思議に思ったことを聞く姿勢に、昔の自分はどうだったのだろうと考えることが山のようにありました。
皆、お土産に渡した飴を見て、これはどう作ったんだろうと想像しながら食べると言っているのを見て、この授業をして良かったなと心から思いました。

後日、学生達からはお手紙もいただきました。一部こちらにて紹介させていただきます。

今回の経験から、この仕事を続けて、もっと組み飴の魅力をもっと発信して行こうと強く思いました。
そして、このような機会をいただき、「ものをつくること」をより一層考えるきっかけができました。
もっとこの文化や組み飴の作り方に興味を持ってもらえるように、そしてもっと魅力的な文化になるように。。

最後に、このような機会を作りご尽力いただいた丹羽さんに、心から感謝します。
ありがとうございました。