クリスマスツリーに飾るのあのキャンディ
世の中にはイメージとして広く認知されていながら、そのものの名称が認知度の割には極端に低いというものがたくさんあるように思います。
お醤油やタレなどが入っている鯛みたいな形をしたポリエチレン製の容器。 イメージできますよね?知っていますよね?
あの名称をご存知ですか?
「ランチャーム」というそうです。私は全然知りませんでした(笑)
ものを梱包するときに使用する「プチプチ」今では商標も取られていて、これはこれで正式名称ですが、商標に抵触しないよう使用するとすると元々の名称は・・・
気泡緩衝材です。
生きている間に誰でも必ず行うと思われる視力検査。その際に使用される目を覆うあの器具。使ったことありますよね。あれの名称は?
遮眼子というそうです。
ちょっと考えてみただけでどんどん出てきそうなイメージとして広く認知されていながら、そのものの名称が認知度の割には極端に低いものたち。
そこであれですよアレ。
子供の頃は特に誰しも楽しみにしていたクリスマス。
大人になってからも楽しみな人は楽しみで、特に私と同年代の方は「シンデレラエクスプレス」のCMが懐かしく、山下達郎の「クリスマス・イヴ」が流れてくると、反射的にソワソワしてしまう方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、そのクリスマスと言ったらまずはクリスマスツリー! 11月に入れば各地でクリスマスツリーの点灯式などが芸能人などをゲストに華やかに開かれますよね。
流石に11月は早いかもしれませんが、各家庭でも12月に入ればクリスマスツリーを出すわけですが、収納の奥の方にしっかりとしまわれているものですから、お父さんがやっとの思いで掘り出すようにクリスマスツリーを出してきて、そして子供たちや奥さんにその美的センスを酷評されるのではないと内心ヒヤヒヤドキドキして飾り付けをします。
実際のところ、子供たちや奥さんはそもそもお父さんのセンスになんて期待していませんので、毎年何事もなく終わるか、気づいてみればしっかり家族の誰かに修正されているかのいずれかで無事終了します。
具体的には電飾を巡らせ、綿をちぎって雪のようにツリーに乗せたりしつつ、色々と飾り物(オーナメントっていうんですかね)を選んでくくりつけたりしましたよね。サンタや、お星様や、雪だるま、トナカイなんていうのもあったかもしれません。何年も使っているものなど少しくたびれているのも含めて。そして毎年1つ2つとなくしていくのもクリスマスオーナメントの「あるある」でしょう。
はいはい、そしてそのオーナメントの中に、ステッキ状のものがありませんでしたか?赤と白のスパイラルになっていたり、いわゆるクリスマスカラーの赤と緑の配色だったりする。あれ。
私の子供の頃は、「あれ」が何なのかもわかりませんでした。それはもう50年も前の話ですから当然と言えば当然(笑)。
昭和も40年代なんて、現在と情報量の差も天と地ほどですから、サンタとトナカイと靴下以外は、どんな理由でクリスマスツリーに付属しているのかなんて親に聞いても分かりません(笑)。 てっぺんにあるあの星が何を意味するのかなんて、ただ単にてっぺん→高い→空→お星様。こんな連想ですよ。
結果当時の小学2年生にとっての今でいう「Google先生」は文字通り、先生。学校の先生に質問することしかできません。いや本当になんでも聞いていたような気がするなぁ。
そこでいつも通り学校に行って先生捕まえて質問するんですよ。
「クリスマスツリーに飾るステッキみたいなあれって何?」って でもね、年配の男の先生はよく知らないようで「ちょっと先生忙しいから後でね」とか言われて・・・。今思うと思いっきりはぐらかされてますよね。 今も昔も、おっさんは流行り物を尋ねる相手としては全く当てになりません(キッパリ)
そこで優しい若い女性の音楽の先生に改めて質問したんですよ。
そしたらすぐに教えてくれたんです。
「あれはキャンディなの。飴なのよ」って。
おお、「あれ」はキャンディなんだ!飴だったんだ! 謎は解けた!
飴と聞いても不思議とそこに違和感は全くありませんでした。 何しろ11月には七五三があって、千歳飴がもらえるじゃないですか。不二家の「ミルキーの千歳飴」なんておやつで持ってたら、今でいう神扱いですよ。
そんなわけですごく短絡的に、クリスマスっていう子供が喜びそうな外国のお祭りも、やっぱり飴が絡んでくるんだなぁ。 日本も外国も一緒だなぁとか、妙に納得が行ったのです。
お菓子問屋の息子としてなぜか誇らしくも感じた、昭和44年、小学2年生の師走でした。
謎は解けたがこのクリスマスツリーに飾る飴は溶けないんだろうかとか、いろいろなことをランドセルを背負いながら帰り道で考え、家で改めてクリスマスツリーに飾った「モールで作られたクリスマスツリーに飾るキャンディ」を見て、肝心なことに気づきました。
優しくて若い女性の音楽の先生からこのキャンディーの名前を聞いてないことに!
名前、先生は知っていたら教えてくれたはずだから、先生もきっと知らないんだ・・・勉強に関係ないことだし、これ以上聞いて若くて優しい女性の先生を困らせてもという思いで、名前については聞くことを諦めていました。 さらにいうと、おっさんの先生からはどんなに待っても回答は返ってきませんでした(笑)
この「クリスマスツリーに飾るあのキャンディー」の名称を知ることになるのは、それから30年近くも後のこと、インターネットが普及し「検索」が当たり前にできる世の中になってからのことでした。
それまでずっと、「クリスマスツリーに飾るあれ」とか「クリスマスツリーに飾るステッキみたいなキャンディー」とかで30年ほど突っ走ってきたわけですよ。今思えば菓子関係の仕事についているのにこの状況で突っ走っているなんて、暴走族以上のやらかしです。
クリスマスツリーに飾る「あのキャンディー」の名称は「キャンディケイン」「キャンディケーン」です。
詳しいことは私が御託を並べるよりも、wikipediaで知らべていただけた方が良いかと思います。
このブログではキーボードタッチが楽なのと響きが良いので「キャンディケーン」の方を使用します。
昭和40年代のクリスマスは、今と変わらずクリスマスツリーを飾り、ケーキを食べ、プレゼントをドキドキしながら待つという大筋ではほぼ変わっていないですが、ディティールと言いますか大事なポイントは結構な違いがあり、思い出すと笑えてきますね。
当時のクリスマスケーキはいいとこのお坊ちゃんやお嬢様ではない限り、より具体的にいうとピアノが置いてあるおうち以外は、生クリームのデコレーションケーキなんかじゃなくって、「バタークリームのデコレーションケーキ」でしたからね。
ほんとにト音記号とヘ音記号ぐらいはっきりきっぱり別れてましたから。 バタークリームのクリスマスケーキですがすっごい特徴がありまして、もう豪華なデコレーションであればあるほどくどくなってきて食べられなくなるという、嬉しいんだか苦しいんだか訳がわからなくなってくる食べ物だったですねぇ。
これ食べないとプレゼントがサンタさんから来ないからっていう修行だったという認識です。
これがトラウマでデコレーションケーキが好きじゃないっていう同世代は多いと思いますよ。 一体いつから生クリームのデコレーションケーキがクリスマスでも一般的になったんでしょうね。今の子供は幸せだな。
とはいう私もバタークリームのくどさに辟易した小学生でしたし、それなりに父が頑張って買ってきたクリスマスケーキを表向きは嬉しそうに食べていた私も、一周回ってどころか、何十周も回って今ではバタークリームが新しいとか思っちゃっている人間になり、東京駅近く丸の内にありますエシレの「ガトーエシレ」に関しては一角の蘊蓄を持つ身となっております(ニヤリ)
(あれは美味しいぞ。1日限定20個程度の販売だからより一層そう思ってしまうのかな)
メインのクリスマスケーキですら、そういう状態の昭和40年代。
肝心のキャンディケーンですが、クリスマスツリーの飾り(オーナメント)では安っぽいものをいっぱい見かけます。ですが優しくて若い女性の音楽の先生が教えてくれた「キャンディ」や「飴」として実物を見たことがない! 子供心に「本物を飾りたい!」とか思いますし、飴だから一個ぐらいはお小遣いで買えるんじゃないか、クリスマスツリーを片付けるときに食べられるし、との期待に胸を膨らませ、駄菓子屋巡りをしてもどこにも売っていない・・・。
友達からは「クリスマスは外国のお祭りだろ。だからきっと外国の飴だと思うよ。駄菓子屋には売ってないんじゃないの」とか言われて。 おお粥川くんは頭が良いなぁ、そうかも!とか勝手に思い、まだスーパーなんかもあまりない時代だったので、市場とかに見に行ったりする訳ですがやっぱり見つからない。
お歳暮かなんかの申し込みで母親がデパートに行ったときについて行ってひたすら探しても「キャンディケーン」は目の前には現れてくれませんでした。
あれから40年以上が過ぎました。 子供から少年へと移り行く中クリスマスツリーを飾ることがなくなり、そしてJR東海のシンデレラエクスプレスのCMに妄想を馳せつつ、リア充に敵意を持ってブラック企業で若いリーマン生活を送っていた私もなんとか結婚し、自分の子供のためにまたクリスマスツリーを飾る日がきて、子供たちが成長するに従ってまた飾らなくなり、今では孫のために飾る日が来る・・・。
人生のそこはかとない輪廻と言いますか循環を身をもって体感しつつ、子供の頃の思い出をずっと抱きながらお菓子の業界に生きていく中で、現代のクリスマスシーンはこのキャンディケーンにとってはどうなんだろうなどという視座が出来上がったりするものです。
菓子問屋の息子であった私は、稼業を継承し事業部としてネットでのオーダーメイドキャンディサービス「まいあめ」を立ち上げました。まいあめを運営する中で、まいあめは多くの企業様の販促や物販事業に関わらせていただく傍ら、ディスプレイとしての「キャンディ」「飴」の受注もいただくことが増えてまいりました。
子供の頃からの「キャンディケーン」への不思議な思い入れのせいか、キャンディ、飴をディスプレイに使用することに関しては抵抗感なく、というよりもむしろ積極的だったように思います。 そんな中、キャンディーケーンそのものではありませんが、クリスマスツリーのオーナメントとして飴を使用するということをついにやり遂げる日が来ました。
2012年のクリスマス。グランドハイアット東京の「スイーツフォレスト企画」です。 グランドハイアットのご担当者様から、「キャンディケーンはグランドハイアットのスタッフでも作れますが、このオーナメントはまいあめさんでしかできないと思います」 そう言われて取り組んだ企画でした。
2000個ほど作ったキャンディーのオーナメントは独特のもので、グランドハイアットのご担当者様に大変喜んでいただけたのを覚えています。
とても誇らしいことではありましたが、同時に飾られているキャンディケーンはパティスリー部門と一部輸入で間に合わせたようなお話でした。ちょっとそこが個人的には残念だなと・・・。できればキャンディケーンもやりたかったなと・・・。
そしてその後もクリスマスのシーズンが近づくと、キャンディケーンについて考察する時間を持つようになります。
●昭和40年代に比べ情報量もタッチポイントも圧倒的に増えてはいるのに、
●あの頃と変わらず本物のキャンディーケーンを店頭で見る機会は少ないこと
●ネットで検索すると出てはくるけれど、ほとんどが輸入品であること
●形状とデザインから機械で製造することは難しいこと
要は1本1本手作りなので割高であるため国内では製造しているメーカーはほぼなく、流通には乗らないのかもしれません。
ネットで売ろうにもイメージはあっても検索すべき名称「キャンディケーン」を多くの人がご存知ありません。
人の頭の中に存在しない言葉は、検索需要が極端に低くなりなかなかネットでの市場が顕在化しません。
さまざまな要因が重なり、本物の「キャンディケーン」は皆さんのクリスマスツリーのイメージ中にだけ存在する「幻のアイテム」のようなものになっていたようです。
ということで、まいあめでは飾るだけではなく本当にちゃんと食べられるプレゼントとして、「キャンディーケーン」をクリスマスのコミュニケーションツールとして再編集してみました。
キャンディケーン:https://myame.jp/candycane
まさに一本一本が手作りです!
キャンディケーンは折れやすいので包装には最新の注意を払っています。また個別包装ができないため袋の中には乾燥剤を入れた上で封入しています。
一本づつが手作りのためオリジナルカラーにも意外に小ロットから製造できます。またオリジナルシール、オリジナルタグなどの対応もご相談ください。
イメージだけの存在だったあのキャンディーケーンを実際に飾ったり、手に取って食べていただき、皆様の新たなクリスマスの思い出の1ページに加えていただければ幸いです。
キャンディケーン:https://myame.jp/candycane