お客様インタビューInterview
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- お客様インタビュー 08
そないチクイザ/やまねこ雑貨店
『やまねこ雑貨店』は、沖縄県西表島(いりおもてじま)の西部に位置する祖納(そない)集落にあるお土産屋さんです。地域の特産品やイリオモテヤマネコをモチーフにした雑貨など、ここでしか買えない商品を取り揃えています。
今回やまねこ雑貨店さんからご依頼いただき製作したのは、西表島を象徴する存在“イリオモテヤマネコ”をモチーフにし、西表島の特産品である黒糖を使った組み飴『やまねこ飴』です。魅力的なお土産を生み出し続ける店主の屋真由美さんに、今回の飴を依頼いただいた経緯や商品へのこだわりなどについてお話を伺いました。
そないチクイザ/やまねこ雑貨店とは?
中村(以下、中):まずやまねこ雑貨店さん、そないチクイザさんについてお伺いします。そもそものお話で恐縮ですが、「そないチクイザ」と「やまねこ雑貨店」と2つの名前を掲げていらっしゃいますよね。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
屋さん(以下、屋):「そないチクイザ」というのはこの施設の名前です。そないチクイザはもともと義理の父親がはじめたお土産屋で、その中に私がやっている「やまねこ雑貨店」と、お食事処の「百香果(ももかか)」というお店があります。つまり「やまねこ雑貨店」は私の個人事業主としての屋号ですね。
チクイザには「神様の座る石」という意味があるため、この場所も地元の方や観光に来た方が縁側に腰掛けて一休みできるような場所になるように、という思いを込めて義父が「そないチクイザ」と命名しました。地域の人には「そないチクイザ」といえばうちのお店のことだな、と分かっていただけると思います。
中:お土産店ではありますが、観光客の方だけでなく地域の方にとっても憩いの場になっているんですね。
やまねこ飴を企画した理由
中:屋さんはさまざまなオリジナル商品を開発されていますが、今回の商品『やまねこ飴』を企画されたのにはどのような経緯があるのでしょうか。
屋:お土産品では食べ物が人気のため、何か新しい食べ物の商品を考えたいなと思っていました。なおかつ、食べ物とイリオモテヤマネコを掛け合わせた商品にしたいという希望もありました。イリオモテヤマネコの形をした『やまねこちんすこう』も、それを目当てに買いに来てくれる人がいるほど人気なんです。西表島にとってやはり、イリオモテヤマネコは強力的なコンテンツだな、と(笑)。
ラングドシャやマシュマロなども考えたのですが、島からお土産として持って帰ってもらうことを考えたときに、賞味期限が長いこと、かつ割れる心配がないものが望ましいなと思いました。それで「飴ならちょうど良いのではないか」と考えたのが、今回の商品を企画したきっかけです。イリオモテヤマネコを組み飴で表現できるのも、うちの商品に合っているなと感じました。
まいあめに依頼した経緯・決め手
中:飴を使った商品を製作にするにあたり、まいあめにご依頼いただいた決め手は何ですか?
屋:飴を製作できる会社をいろいろと検索していた中でも、まいあめさんはWebサイトがきれいで見やすかったのが印象的でした。また今回は西表島の特産品である黒糖を使用した飴としたかったので、多良間島の黒糖を使った飴の製作実績があることも決め手になりました。
あとは他社さんですと「たくさん作るほど安くなる」という打ち出し方をするところが多いのですが、まいあめさんの場合、数量が増えても単価が変わらないですよね。そこが逆に良いなと感じました。
中:お客様から「安くならないか」と聞かれることはありますが、単価が変わらないところが良いと言っていただけるのは新鮮です!どのようなところが良いと思われたのでしょうか。
屋:機械でつくるのであればたくさんつくる方が安くなると思いますが、職人さんの手作業で製作されている以上、たくさんつくるからといって安くならないのは当たり前ですよね。まいあめさんの製作実績を見ても、一つひとつ丁寧につくられているのが伝わってきました。こちらとしても値段を切り詰めるよりも、品質の高いものをずっと継続してお願いしたいなと思っていたので、そういった面で安心感がありました。
中:まいあめとしても、職人さんや、職人さんが積み重ねてきた技術を守っていくことを大切にしているんです。それを分かっていただけるお客様がいると励みになります!
商品全体のこだわり
中:今回製作された商品の概要を、パッケージも含めて簡単に教えてください。
屋:イリオモテヤマネコの顔を表現した組み飴で、材料には西表産の黒糖を使用しています。飴を入れている赤、水色、白の3種類の缶パッケージにはそれぞれ異なるイラストレーターが描いたイリオモテヤマネコのイラストをあしらっています。
中:今回の商品でこだわったのはどのような点ですか?
屋:飴を食べ終わったらそれで終わりではなく、ずっと思い出として残しておけるものにしたいと思い、「飴と缶を二度楽しめる」という部分にこだわりました。飴も缶もかわいく、さらにかさばらず壊れにくく、持ち運びやすく、長くご愛用いただけるというパーフェクトなお土産になったと思っています。
製作にあたっての不安・出来上がった商品を見た感想
中:飴の製作にあたって不安はありましたか?
屋:西表島産の黒糖を使用していただくことになるため、飴としてうまく仕上がるのかというのは少し不安でした。また事例を見るとカラフルな飴が多いのですが、黒糖の場合白と茶色の二色なので「地味かな?かわいくなるかな?」というのも少し不安がありましたね。
中:実際出来上がった商品を見て、いかがでしたでしょうか。
屋:ぱっと見で「かわいい!」となりました!心配していた色味も全然大丈夫でしたね。白と茶色がイリオモテヤマネコカラーになっていてちょうど良かったです。味も、黒糖の味がきちんとしたので「すごい!」と思いました。こんなにしっかり味がするんだなって思いましたね。
また、もう1つの不安として商品輸送の部分がありました。やはり離島ということで、石垣島から船で輸送されてくる間に、外に荷物を積まれて塩水がかかってしまったり積み下ろし作業の際に段ボールが開いてしまったりすることもあります。
まいあめさんには初めての納品からこれまで何度も納品いただいていますが、いつもしっかりと梱包していただいているのでそこも安心しています。
中:まいあめでは離島のお客様も多いため梱包はかなり気をつけているポイントです。いつも無事届いているようで安心しました。
製作から納品までのやりとりについて
中:製作から納品までのやりとりについてはいかがでしたでしょうか?
屋:デザインの相談から発注確定までこまめに連絡をくださり、安心してお願いできました。飴と缶は別々の発注なので飴は飴で、缶は缶で動いていたのですが、まいあめさんには缶の現物がない状態で相談したにも関わらず、缶に入る個数や包装形態、品質表示シールのサイズなどの相談に丁寧にのっていただけたのもありがたかったです。
中:飴を缶に詰める作業は屋さんがお一人でされているのですか?
屋:はい。缶に詰める作業は私が隙間時間にやっています。実は最初はその手間を省くために、まいあめさんには6個まとめて透明の袋にシリカゲルと一緒に入れた状態で納品してもらおうと思っていました。
でもそれをまいあめさんにお伝えしたところ、「過剰包装になるのではないか」とアドバイスをいただけて。もともとお土産というのはどうしても過剰包装になってしまいがちで、それを解消するために缶パッケージにしたということがあったので「確かにそうだな」と思いました。そういう気づきをもらえたのがありがたかったです。
お客様の商品への感想・売れ行き
中:お客様からの商品への反応はいかがでしょうか?
屋:すごくかわいいと言っていただけます!普通お土産ものは島の人はあまり買わないのですが、やまねこ飴は観光客の方だけでなく島民も買っていかれますね。
島の人は手作業で作られたものが好きな方が多いんですよ。なのでこのやまねこ飴も手作りのあたたかみを感じてもらえて好きと言ってもらえることが多くなっています。もちろん手作業でつくられたものなので多少のゆがみもありますが、いろいろな表情があってかえって可愛いなと思います。
中:特に売れ行きが良い層はありますか?
屋:いえ、本当に性別、年代問わず幅広い層にご購入いただいていますね。例えばちんすこうは若い男性はあまり買わないといった特徴があるのですが、やまねこ飴の場合は若い男性も外国の方も買っていかれます。他の商品とは全然傾向が違いますね。
また幅広い層が大量購入しているのも、やまねこ飴の特徴のひとつです。というのも、50〜60代の世代ではばら撒き用のお土産として大量購入する傾向があるのですが、コロナ禍があったことで若い世代の間ではばら撒き用としてお土産を大量購入する文化は希薄になっているんですね。
それにも関わらずやまねこ飴は若い方でもたくさん買って行かれる方が多いんです。色が3色あることから、コレクション用にまとめ買いしている方も多いのではないかと思います。そこはバリエーションをもたせて良かった部分ですね。
中:お話を聞いて、飴はお土産用にも自分用にもなるニュートラルなポジションなんだなと改めて実感しました。やまねこ飴の場合、缶パッケージになっていることでよりその特徴が強調されていると思います。
卸先からの反応や売れ行き
中:やまねこ飴は石垣空港や港でも販売されているんですよね。それぞれの場所でもやはり売れ行きは好調ですか?
屋:はい!観光シーズンということも影響はしているとは思いますが、特に石垣空港では200個納品して2週間後にまた160個が注文くるなど、本当にすごく売れていますね。
中:私も石垣空港でお見かけしたのですが、空港にもかわいらしいポップと一緒に商品が置いてあって目立っていました。
屋:ありがとうございます。あのポップはやまねこ飴を卸している店舗に合わせてつくって配っているものなんですよ。
中:店舗ごとに作成されているんですか!屋さんは編集のお仕事をご経験されていたとのことなので、その技術がポップにも存分に発揮されているなと感じました。あのポップがあることで商品がわかりやすくなって、皆さん買っていかれているのかなと思います。
屋:でも、ポップも含めて目立つ売り場をつくれているのも、飴を安定供給できていることが大きいと思います。やはり卸先の店舗からしても、売り切れて次いつ入荷があるかわからない状態だと売り場を確保しづらいですよね。
まいあめさんには発注時にだいたいの納期を教えていただき、その通りに発送していただけているので、卸先にもご注文いただいた分を納品できています。だからこそ店舗でもきちんと売り場のスペースを取っていただけています。
商品企画やデザインを考える上で大切にしていること
中:今回のやまねこ飴も含めて、屋さんがたくさんの商品を開発できる秘訣などはあるのでしょうか。
屋:お客様が実際に購入されるところを見ているので、「こういうものが売れるのか」という情報を日々得られているのは大きいですね。また卸先の方ともお話をしながらアドバイスをいただくこともあるため、それも開発につなげられています。ご購入いただく様子を見てモチベーションを上げ、楽しみながら商品開発ができています。
飴の商品価値とは?
中:店舗で取り扱う上での飴の商品価値はどのようなところにあると思いますか?
屋:今回のやまねこ飴で言うと、食べ物でもあり雑貨でもあるというのはこの商品だけなので、手にとってもらいやすいのではないでしょうか。価格も手頃で、なおかつ食べ終わった後も缶をアフターユースできるのは他にない魅力だと思います。
またお土産で考えると、離島ではどうしても皆さん持ち帰りのことを考えてお土産を購入されます。その点、飴の「溶けない・割れない」という特性は、お土産として魅力的だなと思います。
飴の賞味期限の長さもうちのお店にとっては重要なポイントです。うちだけでなく島全体でコロナ禍の売れない時期を経験しているため仕入れには慎重になってしまっているのですが、飴は売れるということも分かったし、賞味期限も長いためにある程度気負わずに仕入れることができるのは本当に大きな魅力ですね。
「今後こんな商品がつくりたい」などの希望は?
中:飴を活用した別の商品の構想などがあればお聞かせください。
屋:やまねこ飴に関しては、別のパッケージを展開したり、巾着パッケージにしたりとバリエーションを増やしていきたいなと思います。
今回は黒糖を使ったイリオモテヤマネコの組み飴なので、パイナップルなど他の特産品を使って、他の生き物を表現するというのはやってみたいですね。ただ生き物はやはりイリオモテヤマネコが強いかもしれないですね…。
中:組み飴で表現するなら、イリオモテヤマネコの正面の顔がやはりインパクトがありますよね。パイナップルは果汁が飛んでしまうという懸念はありますが、ドライパインの粉末があれば入れられる可能性はあります。
屋:島にはいくつもパイン農家があるので、協力して新しい飴を作るのも面白いかもしれないですね。
今後のまいあめに望むこと
中:今後のまいあめに望むこと、ご要望があれば教えてください。
屋:缶パッケージの場合、パッケージングまでされた状態で納品されると嬉しいなと思いました。缶に入った状態で輸送できれば送料も半減するため、経費削減にもなると思います。
やはり離島は送料がネックになります。缶は意外と単価は安いのですが、嵩張るのと重量があるのとで、どうしても送料が加算されてしまうんです。もしまいあめさんと缶の業者さんが協力してそこを解消していただけるのであればありがたいですね。
中:日本には離島がたくさんありますし、まいあめは離島のシェア率も高くなっているので、離島につきものの送料の課題を解消できると双方にとってメリットになりそうです。
離島ならではの視点でのアイディアもいただき、まいあめとしても気づきがたくさんありました。本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。