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お客様インタビュー

観世宗家

「まいあめ工房には観世宗家伝統の模様を形取った飴を作っていただきました。細かい表現がすばらしく、素人目にも作った方のご苦労ぶりが伺えました。」

能楽の観世流家元観世宗家では、このたび観世能楽堂でのお土産品としてまいあめ工房に「観世宗家飴」の製造を依頼した。細部にわたり伝統の図柄を再現した出来上がりに大満足という観世清和様および奥様の美穂様に、観世宗家飴を作った理由、そして伝統文化を継承することのご苦労などについて伺った。
(写真右は当社代表 中村貴男)

第一部 観世宗家飴

まいあめ工房に「観世宗家飴」の製造を依頼

− まずは観世美穂様に伺いたいと思います。観世流および観世宗家について教えてください。
「井筒」の観世清和氏=牛窓正勝撮影、観世宗家事務所提供

「井筒」の観世清和氏=牛窓正勝
撮影、観世宗家事務所提供

能楽には「シテ方五流」と呼ばれる五つの流派(観世流、宝生流、金剛流、金春流、喜多流)があり、観世流はその中の最大流派で、能楽師全体の7〜8割を占めています。

観世宗家は700年続く観世流の家元です。初代が観阿弥、二代目が世阿弥、現在は観世清和が26代目の当主です。 宗家は家元として、分家・職分・準職分・師範を合わせて総勢1000名ほどをまとめるほか、能楽師として月10回は舞台に上がっています。

− 観世宗家ではまいあめ工房にどんな飴を依頼しましたか。

まいあめ工房には、観世宗家やお能にまつわる図柄をあしらった「観世宗家飴」を作っていただきました。

飴の種類は「観世水」、「観世千鳥」、「梅」、「扇」、「観世文字」の合わせて5種類です。それぞれを3個ずつ詰め合わせて、「観世宗家」と書かれた短冊を入れて一袋にしました。この6月より渋谷区松濤の観世能楽堂でお土産品として一個500円で販売します。

これまで能楽堂にはお能の書籍はありましたが、今回のような一般のお客様向けの商品を扱うことはありませんでした。この飴は観世宗家初の「能楽グッズ」となりました。

まいあめ工房を新聞で知り記憶に残る

− 今回初めて能楽グッズを作ったきっかけを教えてください。

能楽堂というと、一般的に堅いイメージがあると思います。以前から、そのイメージを払拭するような何か楽しいお土産品があればいいのにと思っていました。

お客様にとって能楽堂に出かけていって観能することはハレの日の行事ですから、お土産を買うこともその中の楽しみの一つになります。お土産をもらった家族の方や近所の方にもお能に興味を持ってもらうチャンスになります。

これまで何度か宗家に相談をしていましたが、却下され続けてきました。そういったお土産品などの販売は前例がありませんし、そもそも、宗家では「物を売る」という商業的な行為を嫌う傾向があったからです。

今回の飴作りが実現したのは、10歳になる長男・観世三郎太の初シテの舞台がきっかけでした。息子の初めての主役舞台の記念品ならばということで、宗家の了承を得ることができました。

− まいあめ工房を知ったのはいつ、何がきっかけでしたか。

以前、朝日新聞でまいあめ工房が紹介されていた記事を読んだことがありました。自分で考えたデザインの飴を少量、手作りで作ってくれるサービスが人気になっているという内容でした。

能楽堂のお客様は高齢の方が多く、みなさん飴が大好きなのでお土産品にはぴったりですが、オリジナルのものでなければ意味がありません。でもオリジナルで作るには大量に注文しなければいけないと思いこんでいましたので、その記事を読んでこれはいいものを見つけたと思いました。今回宗家の了承を得たとき、真っ先のその飴の会社のことを思い出しました。

会社の名前までは覚えていませんでしたが、東京の会社ではなかった記憶がありました。その情報を頼りに、インターネットで「飴作り」という言葉を入れて探したところ、まいあめ工房のホームページを見つけました。他にもたくさん飴作りのホームページがありましたが、朝日新聞に紹介されたと書いてあったし、会社が名古屋だとあったのでここに間違いないと思いすぐに電話をしました。

− 飴を注文する際、何か不安はありませんでしたか。

不安は全くありませんでした。昔ながらの伝統的な手作り飴というのが観世宗家としてはぴったりだと思いましたし、好きなデザインで飴が作れるというのは大きな魅力でした。朝日新聞に載るぐらいですからちゃんとした会社のはずですし、電話の応対もちゃんとしていました。

観世宗家と能ゆかりの5種類の飴

− 今回作られた飴の図柄の意味について教えてください。

それぞれの図柄の意味は次のようなものです。

  • まいあめ工房によるデザインスケッチ

    まいあめ工房による
    デザインスケッチ

  • その後「か」は「観世」に変えて製作

    その後「か」は
    「観世」に変えて製作

  • 1. 観世水(かんぜみず)
    観世水は観世家に代々伝わる波紋の模様です。室町時代、京都西陣の観世屋敷(現桃園小学校)の一角の観世稲荷に観世井戸と呼ばれる井戸がありました。あるとき、私どもの先祖がその井戸を見たとき、水面に美しい波紋が浮かび上がったそうです。そこで傍らにあった紙に筆でさっとその波紋の形を写し取り、足利将軍家に届けたところ許されて観世家の模様となりました。観世家では流儀のお扇子や能装束などにこの観世水の模様を使っています。
  • 2. 観世千鳥
    これもやはり室町時代からの観世家の模様です。お扇子や能装束などに千鳥が全体に散っている柄を使ったりしています。
  • 3. 梅
    日本の代表的な花は桜だと思っている方も多いですが、桜は大陸渡来で歴史が浅く、日本に昔からある花の代表は梅です。お能の曲にも梅の精が出てくる「梅」、「浪速の梅」などの中に、梅が大事な花であると謡われています。
  • 4. 扇
    お扇子はお能の舞には欠かせないものです。扇もまた、能装束などに使われる定番の模様です。
  • 5. 観世文字
    「観世」という文字は観世宗家が管理しており、これまで一般の方に渡す物に使われることはありませんでした。今回は初めての試みです。なにしろ画数が多いので最初から観世の文字はではムリだと思いこみ、アルファベットの「K」にしようと思っていました。でも日本の伝統芸能なのにアルファベットはおかしいということで、ひらがなの「か」でまいあめ工房にデザインをお願いしました。その後、まいあめ工房から「観世」の文字で大丈夫ですということで漢字になりました。

また、袋の中に何か文字を入れることができますよ、と言われたので、「観世宗家」という文字を書いた紙を入れていただくことにしました。

飴による細部の表現に驚く

− 飴の出来上がりをご覧になっての感想を聞かせてください。
  • 画数の多い文字も再現

    画数の多い文字も再現

  • 足の先の表現が見事な観世千鳥

    足の先の表現が見事な観世千鳥

  • 形を保つのが難しい観世水

    形を保つのが難しい観世水

それぞれとてもよくできていて出来上がりにはとても満足しています。鉛筆で書いても難しい観世の文字の細部も歪まずにきれいに出ていて驚きました。

模様で特にすばらしいと思ったのが、観世千鳥です。出来上がった飴が事務所に届いた時、「千鳥の足もちゃんとしている!」と皆が驚きました。この足の細さ、ゆがみのなさは、作られた方のご苦労ぶりが素人の私たちにでもよくわかりました。

また、観世水もよくできています。このデザインは丸いうずまきではなく楕円の波紋であることがポイントです。でも、飴になったらきっとうずまきみたいになってしまうだろうと覚悟していましたが、できあがりはそのままの形が表現されていました。

こういったオリジナルの文字や絵柄は、観世流の流儀をする私たちにとっては特別な意味を持つものです。私たちの伝統の模様を、皆さんに楽しんでいただける手作り飴という形にできたことはとてもうれしいです。これからたくさんの方にこの飴を手にとっていただきたいと思っています。

第二部 伝統文化の継承

飴は昔から身近な存在

− ここからは、宗家である観世清和氏に加わっていただき「伝統の継承」というテーマでお話を伺いたいと思います。最初の質問です。宗家は飴はお好きでしょうか。
「飴は昔から私どもにとってなくてはならない食べ物です」観世清和氏

「飴は昔から私どもにとって
なくてはならない食べ物です」
観世清和氏

観世氏 :飴は大好きですね。私どものようなノドを使う仕事は飴とは切っても切れない仲です。能楽師は、おそらく世の中で最も飴を食している職業の一つと言えるのではないでしょうか。

朝起きて第一声を出したときに調子が悪いなと思うとまず飴を口に入れますし、お稽古や公演の時には皆でお茶を飲む場所には必ず飴が置いてあります。一日中飴が身近にある環境です。

また、飴は行事にも使います。観世流では毎年元旦に流儀の初謡いがありますが、その帰りがけにお土産として皆さんに飴をお渡しするのです。これは祖父の代からの習慣で、「今年1年も、飴をなめていい声を出してください」という洒落なんです。

実は今日はまいあめ工房の社長さんがお見えになるというので、飴作りのことでお聞きしたかったことがあるんですよ。

能と飴の共通点その1~「一つ一つが同じく見えて違うもの」

− 飴作りのことで聞きたかったこととは何でしょうか。

子供の頃、母に連れられていったデパートで金太郎飴の実演をやっていたことがあります。「飴もお能と同じく日本の伝統のものだから見ておきなさい」と言われてじっと見ていた覚えがあります。

不思議なのは、最初は目も口も太くて出来上がりの顔とは似ても似つかない形なのに、それを延々伸ばしていくと最後にきれいな金太郎の顔が出来上がりますよね。なぜだろうとずっと疑問に思っていました。いったいどういう計算をしたらあんなふうにきれいに仕上がるんでしょうか。

中村 :計算といっても、もちろん数式のようなものはなくすべて職人の経験と熟練による計算です。飴作りは、言ってみれば時間と温度とのせめぎあいです。温度が高いと作業はしやすいけれどすぐにつぶれてしまいますし、冷めてくると固まって形になりません。飴は冷める時には一気に冷めるので、最長でも40分以内に仕上げなければならず、職人一人ではとても無理です。たとえば今回の「観世文字」の飴は10人で作っています。

観世氏 :10人ですか。たしかに手間がかかっているというのは誰が見てもわかりますが、10人がかりというのはびっくりです。

ところで、この飴には型がないということですから、もし次回同じ物をお願いするとしたら、また一から作るのですか。

中村 :おっしゃるとおりです。型がないのでまた新たに一からやります。ただ、同じく作ったつもりでも仕上がりは微妙に違って、どれ一つ同じにはなりません。同じ釜で炊いた飴ですら、一つ一つを見ると少しずつ違っているのにお気づきかと思います。

観世氏 :そうですね。そのあたり、お能と飴は似ていると思います。ただ、お能には型があって、最初は誰しも型から入ります。でも演じる人の個性で少しずつ違うものになります。

また、飴は食べてしまえばなくなってしまうように、お能も残ることなく演じたそばから消えていってしまいます。今日謡った謡い、舞った舞は同じ人であってももう二度と同じものは再現できません。

能と飴の共通点その2~「余白の重要性」

− 中村社長にお聞きします。今回飴作りで一番難しかったのはどの図柄ですか。
「図柄を支える白い部分のところが飴作りで最も難しいところです」中村

「図柄を支える白い部分のところが
飴作りで最も難しいところです」
中村

中村 :意外に思われるかもしれませんが、一番難しかったのは、細工の細かい観世の文字や千鳥ではなく、観世水でした。この波紋の形を維持するのが非常に難しいのです。キーになるのは青い波紋のところではなく残りの白い部分です。ここには空気が入っているのですが、縮むところとそうでないところが複雑に混じっているのでそのバランスに最も神経を使います。

この白い部分はメインとなる形の部分をサポートする、言ってみれば「余白」です。この余白が飴作りではとても大事なのです。

観世氏 :今余白とおっしゃいましたが、その言葉に思わず反応してしまいました。というのはお能というのはある意味、「余白の芸術」と言えるからです。

西洋の美学はシンメトリー(対称)で具象、それに対して 日本の美学はアシンメトリー(非対称)で抽象です。たとえば、お能の舞台で船の話をするとき、実際に舞台上に船は出てきません。謡と舞で船を表現するのです。一方で西洋の演劇では実際に船が大道具として出てきます。

お能では、目の前には何もありません。言ってみれば余白です。この余白の中で、受け手にいかにリアリティを想像していただくか。これが能楽の根本なのです。

伝統文化を継承していくことの難しさ

− 宗家は700年の歴史を持つお能という伝統芸能を継承していく重大な責務をお持ちです。家元として一番大変と感じるのはどんなところでしょうか。

一番大変なところは、何と言っても全く異質である二つの立場のバランスをとっていくこと、それに尽きますね。

私には後世に伝統文化を残していく家元、そして一人の役者、この二つの立場があります。同じく能に関わることではありますが、この二つの立場はそれぞれ全く異質なものです。

私自身は事務的なことはどちらかというと苦手で、舞台に立って演じるのが大好きな、根っからの役者です。舞台以外でも稽古をしたり勉強したり、新しい演目を考えたりなどに多くの時間を使って役者としての芸を極めたいと常に思っています。そのことだけに集中できたらといつも思いますが、家元としての仕事量も多くそれをおろそかにするわけにはいきません。

たとえば、たった今舞台を終えて興奮状態のところに、私の決済が必要な緊急の書類に判を押してくださいというようなことが起きます。お願いだからしばらくは演目の余韻に浸らせてくれ、事務仕事は今勘弁してほしいと叫びたくなることもあります。

最近、10年前に亡くなった父のことを思い出します。父の存命中は「俺はこんなに大変なんだ」などと言われたことは一度もありませんでしたが、自分が宗家となってからは何かあるたび父の言動や姿を思い出し、ああ、父はあのときこんなことを考えていたのだろうと感じています。

息子の三郎太はまだ10歳ですが、いずれ私の跡を継ぎ27代観世宗家当主となります。そのときには今の私と同じような悩みを持つことがあるかもしれません。ちょっとかわいそうな気もします。

しかし、お能の何百年の歴史の中では私たちのそのような悩みなどほんの一瞬の出来事に過ぎません。私たちには観世宗家の当主として、観世流を、そして観世家を連綿と続けていくという大きな責務があります。この与えられた大事な役割を全うしていきたいと思います。

まいあめ工房への期待

− 最後に、まいあめ工房への期待があればお願いします。

飴と能、やっていることはそれそれ全く違いますが、守っていかなければならないものがありそこに苦労があるという点では共通しています。飴作りの職人が集まらないというお悩みがあると伺いましたが、それはお能も同じです。もっとたくさんの人にもお能のことを知っていただき、新しい人たちに入ってきてほしいと思っています。

これからお能の裾野を広げるために若い方たちに広めていきたいと思います。まいあめさんとはお互いに協力できることがあればぜひお願いしたいと思っています。これからもお互いにがんばっていきましょう。どうぞよろしくお願いします。

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